あまりに身近な津波

一番印象に残ったのは、震災当時のおかみさんのお姑さん(当時90歳)のお話です。お姑さんは、地震があった後も、庭石に腰かけて海を見ていたそうです。 「もう少ししたら、波が引いてって津波が来るから一緒に見よう」と、おかみさんを津波鑑賞に誘ったそうなのです。 お姑さんは昔、津波が来る前の引き波のタイミングで、普段海の底になっている場所が出てきて、そこにウニやらアワビやらを拾いに行っていたそうなのです。だから、一緒に見よう、あなたも見ておきなさい、という何気ない感覚でいるのです。 幸い、寄せてきた津波を見てお姑さんも少し高いところへ避難して難を逃れたという事でしたが、この話を聞いて、海沿いに暮らす人々にとってあまりに津波は身近なものになってしまっているのだと知りました