災害が起こったら、避難所は当然混乱するんだろうな。
そうね。避難所の運営側だって被災しているし、慣れていないのだから混乱するのは予想できるわよね。
熊本地震では、災害から助かったのに、避難生活で亡くなった人も多いって聞いたよ。
そういった背景から、今、避難所は、被災者の権利と被災者支援の最低基準を定めた国際基準を満たせるよう対策されているわ。
避難所にも国際基準があるの!?
そうよ。スフィア基準と言って、災害に限らず、紛争などの被害者が尊厳のある生活を送ることを目的に定められた基準なのよ。
避難所でいのちを守るのは「TKB」
詳しく知ろう
- 命を守る対策として重要な「トイレ・キッチン・ベッド」
- 一人一人が「TKB」を考えることが必要
TKBは「トイレ」「キッチン」「ベッド」
避難所での命を守る対策として重要だと言われているのが「TKB」です。
これは「トイレ・キッチン・ベッド」の頭文字を取ったものです。
この3つは避難所が抱えている課題で、災害関連死を防ぐためにも重要な要素として各所で対策が進められています。
スフィア基準
避難所での命を守る対策の指針として用いられているのがスフィア基準です。
『スフィアハンドブック2018』
スフィア基準は、紛争や災害時などの緊急時において、支援を必要とする人々が高い水準の援助を受けられるようにすることを目的とした、被災者の権利と被災者支援の最低基準を定めた国際基準です。
① トイレ
まずトイレですが、避難所での劣悪な状況からトイレに行くことを我慢する人が多く、水分や食事をとらない事などから、健康状態が悪化してしまった人が多くいることが報告されています。
トイレを待つ長蛇の列、水が流れないことでトイレットペーパーに埋もれた大便、臭い。
確かに、トイレに行くことを躊躇してしまいますよね。
平成28年に内閣府が発表した避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインでは、スフィア基準を基に「受入れ、1時滞在センター」でのトイレは50人に1基、さらに女性対男性の割合は3:1となりました。
また、トイレは発災直後から必要であることから、最低限必要な個数を備蓄し、その後のニーズに応じて数を確保し、快適性の確保を図ることや、原則として男性用、女性用を区別し、女性用トイレを多く設置するとともに、建物内のトイレを優先して障害者、高齢者、女性や子供に使用させる等の工夫に努めることが必要であるとも明記されています。
ただ、まだ仮設トレイの7割は和式だそうなので、足の悪い方や高齢者には不便なことは否めません。
② キッチン
続いてキッチン=食事です。
避難生活の中での食事は心を休められる重要なポイントであるはずですが、実際には、避難所での食事が毎日ほぼ同じ、ということもあったそうです。
お弁当も冷たいままだったり、ご飯が固かったり。代り映えのしない食事を毎日食べ続ける、飽食の現代に生きている私たちにはこの現実は大分辛いです。
③ ベッド
避難所では冷たい体育館の床で雑魚寝をしていたり、寝返りを打つのも難しいほど狭いスペースで寝ていることでエコノミークラス症候群になった人も多くいました。
また、床に直に寝ることでの衛生面の問題、高齢者の方の身体的負担の大きさなどが問題になりました。
避難所のこれらの課題に取り組んでいるのがイタリアです。
2016年に起きたイタリア中部の大地震では、地震発生から48時間以内に快適なコンテナ型トイレ、家族ごとのテントとベッドが提供されたとのことです。
さらにキッチンカーが登場し、ボランティア団体による温かい食事もあったそうです。
日本の避難所の現実を知ったアルピニストの野口健さんは、熊本地震の避難所にスフィア基準を勉強されてテント村を作られました。
災害大国日本。
助かった命を守るために、行政だけでなく「TKB」の重要性を一人一人が考えることが必要だと思います。
避難所でいのちを守るのは「TKB」
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