冬は火災の多い季節です。「空気が乾燥しているから」というのと、暖房器具やコンロなどを使う機会が多く、それらが火災原因に繋がっていると言われています。実際、令和元年の住宅火災の発火原因トップ5は、たばこ、ストーブ、電気器具類、こんろ、ローソク・灯明でした。

これらの火災原因には多くの人が注意を払っていると思いますが、実はその他にも火災になりやすい原因は、私たちの日々の生活の中に潜んでいるのをご存知ですか?

今回は冬の火災について、その特徴と予防法を考えていきたいと思います。

「収れん火災」にご用心!

「収れん火災」という言葉をご存じでしょうか。小学生の頃、太陽の光を虫眼鏡を通して新聞紙にあてると煙が出て燃えるという理科の実験をしませんでしたか?収れん火災の原理は同じです。

例えば、水の入ったペットボトルや花瓶、鏡、水晶玉などを通して太陽の光が集中した場所に燃えやすい物があれば、そこに引火する可能性があります。

また、太陽の光と聞くと夏場が多いと思いがちですが、収れん火災は夕方や冬場に多く発生します。なぜなら、冬場は太陽の高度が低く部屋の奥まで光が差し込むからです。そして冬場は空気が乾燥しているため、すぐに火が燃え広がります。もちろん、収れん火災は部屋の中だけとは限りません。庭に猫除けに置いたペットボトルで収れん火災を起こし、ベンチが燃えてしまったという報告もあります。

太陽光が差し込む範囲には、収れん火災が起こる可能性のあるものは置かないように気をつけましょう。また、出掛ける際には、カーテンを閉めて出かけると良いでしょう。

「乾燥剤」にご用心!

次に注目したいのが乾燥剤です。お煎餅や海苔、最近では新品の洋服やバッグの中にも乾燥剤が入っていることが多いですね。この乾燥剤の中でも、生石灰が使われているものに関しては、置く場所や捨てる場所に注意しないと、思わぬ火災につながる可能性があります。

生石灰は水がかかると化学反応を起こし、非常に高温になります。その時、周囲に可燃物があると乾燥剤の発熱により発火し、火災につながる恐れがあります。実際に電気炊飯器で炊飯中の蒸気が乾燥剤にかかり発熱し、周囲の可燃物が発火した事例があります。

乾燥剤は、何気なくごみ箱に捨ててしまいがちですが、乾燥剤に水がかかってしまうとごみ箱の中の可燃ごみが発火しかねません。

捨てる際は、ビニール袋に入れて水が触れないようにして捨てるか、バケツなどに半分程度水を張り、その中に浸けて反応がなくなってから捨てると安全です。なお、反応中は非常に高温になっているので、やけどに注意して反応が終わるまで触らないようにしてください。※乾燥剤は、可燃ごみか不燃ごみかお住まいの自治体に確認をしてください。

「トラッキング現象」にご用心!

最後にトラッキング火災について。一昔前に比べると「トラッキング火災」という言葉もずいぶんとメジャーになり、どこかで耳にしたことが在るかもしれません。

トラッキング現象とは、コンセントとプラグの隙間にホコリが溜まり、そのホコリが湿気を吸うと電気の通り道ができてしまい発火する現象のことです。

トラッキング現象が発生しやすい場所は、家具や冷蔵庫の裏など、普段目につかずホコリが溜まりやすい場所や、タコ足配線で電源プラグとコンセントの接点が増える場所などです。冬場は結露が発生しやすいのでさらに注意が必要です。年末に大掃除をすまされた方は多いと思いますが、もう一度次のことを確認してください。

  • プラグにホコリがたまっていないか
  • 使わないコンセントにプラグが挿しっぱなしではないか
  • 古いプラグのタップを使っていないか

普段目につきにくいコンセント。ホコリはためないように気をつけましょう。

初期消火の3原則

どんなに注意をしていても、万が一火災が起こってしまった場合は、「初期消火の3原則」が重要です。

1.早く知らせる

「火事だ!」と大声で叫び、隣近所に知らせましょう。声が出ない場合は、非常ベルを鳴らすか、やかんなどの物を叩くなどして異変を知らせましょう。小さな火でも119番に通報し、当事者は消火にあたり、近くの人に通報を頼みましょう。

2.早く消火する

出火から3分以内が消火できる限界です。水や消火器だけで消そうとせず、座布団やクッションで火を叩く、毛布で覆うなど身近なものを活用しましょう。

3.早く逃げる

火が天井にまで燃え移ってしまったら消火を諦め、素早く避難しましょう。避難するときは、燃えている部屋の窓やドアを閉めて空気を遮断し、煙を吸い込まないように避難しましょう。

火災は大切な命と財産を一瞬で奪います。何気ない生活の中にも火災の原因は潜んでいますので、日ごろからの火災予防の習慣を心掛けましょう。 文・根岸(防災士)