
エコノミークラス症候群とは?
「エコノミークラス症候群」は通称で、医学的には「深部静脈血栓症」、そしてそれが肺に達した状態は「肺塞栓症」と呼ばれます。長時間同じ姿勢で足を動かさずにいると、太ももの奥にある静脈の血流が滞り、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。この血栓が、体を動かした拍子に血流に乗って肺まで運ばれ、肺の血管を詰まらせてしまうことがあるのです。
初期症状としては、足の赤みや腫れ、痛みなどが現れます。症状が進行すると、胸の痛みや呼吸困難、重篤な場合は心肺停止に至ることもある、注意が必要な症状です。
避難生活は、決して他人事ではありません
エコノミークラス症候群と聞くと、飛行機内での長時間同一姿勢を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、避難生活、特に車中泊との関係が深いことが知られています。一般に2日以上の車中泊は危険とされていますが、1泊であっても発症する可能性はあります。

そして、ここでトイレの問題とつながってきます。避難所や車中泊の環境でトイレに行く回数を減らそうとして水分補給を控えてしまう方は少なくありません。特に女性は、周囲の目が気になることや、トイレの衛生環境への不安から、水分を我慢しがちな傾向があるといわれています。しかし水分が不足すると血液の粘度が上がり、血栓がより形成されやすくなってしまいます。トイレを我慢することが、巡り巡って血栓のリスクを高めてしまうのです。
実際に、大きな災害の避難所を対象にした調査では、深部静脈血栓症の陽性率が最大30%に達した事例も報告されています。トイレの環境を早期に整えることは、単なる「快適さ」の問題ではなく、命に関わる医療的な課題でもあるのです。トイレの備えについては「災害時の避難所におけるトイレ問題」もあわせてご覧ください。
予防のためにできること
水分補給は、エコノミークラス症候群予防の基本です。トイレの回数を気にして水分を我慢するのではなく、非常用トイレなどを活用しながら、こまめに水分を摂ることを心がけましょう。
体を締め付けない、ゆったりとした服装で過ごすことも大切です。加えて、1時間に1回程度を目安に、かかとの上下運動(20~30回程度)や軽い屈伸運動を行うと、血流の滞りを防ぐ助けになります。ラジオ体操や軽い散歩、足のマッサージも有効です。車中泊の場合は特に、意識的に体を動かす時間を作るようにしてください。

もし足の腫れや痛み、息苦しさなど、気になる症状が出た場合は、我慢せず早めに医療機関に相談してください。
まとめ
エコノミークラス症候群は、避難生活における「動かないこと」と「水分を摂らないこと」が重なることで発症リスクが高まります。トイレの備えをしっかり整え、我慢せずに水分補給できる環境を作ることが、そのまま命を守ることにつながります。
